研究概要 |
日本人の骨年齢の標準化および成長発育障害児のスクリ-ニングを目的として過去6年に亘り、約5000名の学童について骨年齢評価による成長障害のスクリ-ニングを実施した結果,(1)世界で広く実施されているGreulichーPyleのアトラスによる判定では,小学1ー2年生で,男子生徒の骨年齢が暦年齢に比して約1年の遅れを示した。(2)同学年女子では略々歴年齢相当であった。(3)男子は小学4年生でも多少骨年齢は遅れ気味であった。以上の成績は小児の身体的成熟判定の重要性に鑑み、日本人固有の正常骨年齢アトラスの作成が必要なことを明かにしたものである。 次にこのスクリ-ニングのなかで骨年齢促進例が5%前後あり,これらを放置しておくことで最終成人身長の低減下を表すので,早期発見治療の必要性が重視される。途中経過中の身長が見かけ上高いだけに最終身長の減少低下はショックであり,骨年齢測定評価の重要性が指摘される。他方骨年齢の遅延 低身長者の多くは思春期遅発症であり途中経過中は低身長でも最終的には途中評価の身長よりもポジションが上ることが明かになるので,これも早期診断することで本人の自信と劣等感の拂拭に継がり,心身両面に好影響を与えることから,骨年齢の学童期評価のためのマススクリ-ニングの重要性が指摘された。 更に最終身長に達した先天性副腎過形成の出生時からの成長発育に関する貴重な骨年齢の経時的継断的成績の評価も実施した。それらの成績からも殆んど正常のホルモン動態に近い治療の適正な症例でも骨年齢は低年齢時に低く維持されていても,年齢の長ずるに従って急に上昇傾向を示し,最終成人身長の低減化が示された。 以上の結果から,成長発育に重要な示唆を与える骨年齢の測定と判定がより適格に行われ評価されるために,日本人固有の骨年齢標準アトラスの作成が努であり,尚一層デ-タ-の集積と整理がなされねばならない。
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