研究概要 |
静脈管の機能的閉鎖の時期を超音波パルスドップラ-装置(アロカ社製SDDー870)を用い検討した。静脈管の閉鎖時期は,多くの例で生後55時間から115時間であった。日齢0と日齢5にヘパプラスチンテスト時に採血された検体につき以下の検討をした。日齢5までに静脈管の閉鎖が確認された例とされなかった例につき血清遊離脂肪酸,血清ビリルビン濃度,血清アンモニア濃度,血糖,ヘパプラスチンテスト,ヘマトクリット及び血清総蛋白を測定してそれらの測定値の差異について検討した。血清遊離脂肪酸につきランダムに抽出した5例について検討した。酵素法で測定した遊離脂肪酸は,閉鎖例日齢0(平均±標準偏差),921±394nmoles/ml,日齢5,424±153で,開存日齢0,641±428,日齢5,402±91であった。高速液体クロマトグラフィ-のプレラベルの螢光法で測定した遊離脂肪酸分画におけるC16:0,C18:1についての検討で,C16:0の閉鎖例日齢0,191±101,日齢5,89±74で,開存例日齢0,132±52,日齢5,82±28であり,C18:1の閉鎖例日齢0,130±70,日齢5,60±39で,開存例日齢0,92±50,日齢5,65±26であった。閉鎖例と開存例の間の有意差は認められなかった。血清ビルビン,血清アンモニア濃度,血糖,ヘパプラスチンテスト,ヘマトクリト及び血清総蛋白について閉鎖例9例,開存例12例につき検討したが日齢0,5共にそれらの測定値に有意差は無かった。しかし,開存例については12例中3例が未熟児で,2例が成熟児の胎児仮死で,1例が21ーtrisomyであった。閉鎖例には一例も異常例は無かった。 特殊例については,新生児遷延性肺高血圧症の症例がいないため検討出来なかったが,超未熟児において門脈圧亢進症を来した症例が検討でき静脈管を介した副血行路が証明出来た。
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