研究概要 |
平成3年度には各型コラーゲンすなわちtypeI,IV,V,ラミニン及びコラーゲンの架橋酵素であるリジルオキシダーゼについて各々のCDNAを大量に得るための作業を中心に実験をつづけた。つづいてinvitroのコラーゲン産生遺伝子発現をみるために培養系を使用し以下の結果を得た。基底膜の主要講成成分であるIV型コラーゲンの表皮角化細胞における遺伝子の発現をinvitroで検索した。正常ヒト角化細胞(NHEK)をヒト下垂体抽出物添加MCDB培地にて培養し,confluent及びsubconfluentの状態でRNAを採取しNorthen blottingを行った。subcofluentの状態では2.1kbのサイズのバンドを著明にみとめるが,confluentの状態では抑制されてほとんど発現しなかった。以上のことからIV型コラーゲンは正常ヒト表皮角化細胞において遺伝子レベルで発現しており,confluentの状態では何らかの理由でその発現が抑制されることが明かとなった。次にラットを用いてinviroの病的状態におけるコラーゲンとその関連物質の発現をみる実験に入った。まずコラーゲン発現に重要な役割を果たすリジルオキシダーゼについて創傷治癒モデルにおける遺伝子発現について検討した。真皮全層レベルでの開放創を作製し受傷後1,4,7日迄の治癒過程において皮膚を採取しRNAを抽出しNorthern blotting及びin situ hybridizationを行い次の結果を得た。リジルオキシダーゼmRNAの発現量は受傷後4日目でピークとなり7日目ではコントロールレベルに復帰した。in situ hydridizationでは肉芽組織周辺のfibroblastと思われる細胞に一致して陽性所見がみとめられた。これらの結果を参照しつつ現在,各型コラーゲンmRNAの発現について検討中であり、リジルオキシダーゼの発現時機との関連においてどの型のコラーゲンがみられてくるのかなど詳細なコラーゲン代謝の追究を進める予定である。
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