研究概要 |
RI標識モノクロ-ナル抗体による癌治療を行う基礎検討として,治療に使用する核種の選択のため,同一抗体をヨ-ド標識とインジウム標識(イットリウム標識抗体と同様の体内分布を示すことが想定される)し,両標識抗体の体内分布を9日目まで検討し比較した.インジウム標識はサイクリックDTPA法により抗体結合物を作成し,抗体:DTPA比は約1:1,Inー111標識率は95%以上である.Iー125標識はクロラミンT法で行い,標識率は約50ー90%である.担癌マウスにそれぞれ1μgの標識抗体を尾静脈より投与し,経時的に屠殺し各臓器の放射活性を測定すると,別表のような分布を示し,ヨ-ド標識抗体においては血液中での高い停滞率(1日目,13.4%ID/g;9日目),インジウム標識抗体においては肝臓,腎臓への集積が特徴的であった.腫瘍への集積は数種の抗体でインジウム標識の方が1.5倍以上高かった.Iー131及びYー90のβ線Δiはそれぞれ0.3691,1.9841(gーrad/uCiーh),物理学的半減期は8.05日,64時間であることより腫瘍の吸収線量は,100uCi当たりそれぞれ626,3554gーradと計算された.ヨ-ド標識抗体の血液中での高い停滞率は,γ線による全身への被爆も無視できない.イットリウム標識抗体は,RITにヨ-ド標識抗体より適していると考えられたが4日目までの臓器分布が各臓器の吸収線量に大きな影響を与えるためこの期間の正常臓器,特に,肝,腎,骨髄への集積を減らす工夫が重要である.また,抗腫瘍効果を挙げられる量のRIを投与した場合骨髄抑制は高率に生じることが予測される.
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