研究概要 |
実験装置や手技の変更,開発が必要となり本実験計画の完全実施は単年度では困難となった。今年度は以下の点を実施した。 A)methamphetamine HClを飲水中に混入してラットに7日間連続投与した。その後は水道水に換えて7日間断薬させてmethamphetamine行動感作ラットを作成した。水道水のみを投与された対照群と比較して飲水量,体重増加などの違いはなかった。この結果は飲水などの連続投与によっては行動感作は得られないとする従来の定説を覆すものであった。 B)methamphetamine再投与による行動感作の確認は予定していたANIMEXが使用不能となったため,われわれが新たに試作した。この移所運動量測定装置では赤外線センサ-によりラットの移動を「熱源」の移動と捉えて一定の距離以上の移動をカウントするようにコンピュ-タ-処理させてある。その結果12ー24頭のラットを同時に行動観察できることとなった。 C)microdialysisプロ-ベは小型化により脳内挿入による組織損傷の軽減のため実体顕微鏡を用いて新式の直管型を試作した。従来全麻でプロ-ベを挿入後24時間で脳内透析実験を開始していたが,手術によるストレスが大き過ぎ本研究のストレス実験には不適当とわかった。そのため実験3日前にガイドカニュ-レを固定し,実験24時間前に軽いエ-テル麻酔でプロ-ベを挿入固定して極く低流量で人工脳脊髄液の潅流を直ちに開始する方式とした。これによってケ-ジの移動などのストレスの軽減もできた。 D)したがってその後予定していた実験はpreliminaryとなりいづれも報告に必要な数が期限までにそろはなかった。
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