研究概要 |
芳香臭の抗ストレス効果がHー2遺伝子ならびに負荷するストレスの違いによって影響されるかどうか、また抗ストレス効果のみられる臭を長期間適用した場合に、臭に対する慣れの現象が惹起されるかについてマウスを用いたin vivo抗SRBC抗体産生反応ならびに自発運動量の測定で検討した。 高圧ストレス負荷による免疫抑制はBALB/c,C57BL/6,DDY系共にRoseをかがすことにより完全に回復した。またJasminでも部分的な回復がみられた。次に外科的ストレスによる免疫抑制は、Jasminにより回復したが、Roseでは回復しなかった。さらに、疼痛ストレスによる免疫反応の変化はBALB/cとC57BL/6ではRoseにより回復したがJasminは無効であった。反対にDDY系ではJasminにより回復したがRoseでは無効であった。さらに、ストレス負荷後の自発運動の亢進をRose,Jasmin共に抑制した。次に正常マウスにRoseを1,2,3週間かがせた後に高圧ストレスを負荷したところ,3週間Roseをかがせた群では高圧ストレス負荷後にRoseをかがせても、抗ストレス作用はみられなかった。同様にTuberose,Linaloul,Pineneedel,Cardamon,Lubdanumでも抗ストレス効果は消失したが、CitrusーLemon,Benzilーacetate,Lemonでは抗ストレス効果は消失しなかった。さらに、Rose,Tuberoseなど慣れ現象のみられる臭を3週間かがせた後ストレスを負荷し、次にLinaloolやCardamonなど、最初かがせた臭と異った臭をかがせたところ、抗ストレス効果がみられた。 以上の成績から、芳香臭の抗ストレス効果は、マウスの系ならびにストレスの種類によって異なること、さらに、同一臭を長期間適用すると、臭に対する慣れがみられる香があること、さらにその場合、香を変えてやると新しい香では抗ストレス作用が発揮されることが判明した。
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