血管内留置型血流量測定カテ-テル、即ち「従来のカテ-テル法の手技を用いれば容易に血管内に挿入し得、比較的太い血管内への留置が可能で、かつ血管径と血流速をrealーtimeに測定して血流量を求め得るカテ-テル」については、今回の研究でその試作に成功した。このカテ-テルの基本は3Fr20MHzドプラ-カテ-テル(Millar社製DC201)で、これを7Frの外套カテ-テル内に置く。このドプラ-カテ-テルの先端に長さ3cmの極細径ワイヤ-4本の一端を90度間隔で固定し、他の一端を外套カテ-テルの先端にこれも同間隔で固定、また外套カテ-テルの先端にはキャリブレ-ション用マ-カ-を埋め込んだ。カテ-テルが目的部位に到達した時点で外套カテ-テルのみを進めることによって先端部ワイヤ-は血管壁に当たるまで紡錘形に広がり、結果カテ-テルの先端は血管内中央部に留置された。このワイヤ-の拡張幅をマ-カ-で補正して計測した血管径に、FFT解析により求めた血流速をかけることにより血流量を算出した。各種実験回路内、及びイヌ大動脈内でワイヤ-は良好に拡張してカテ-テルは血管内中心部に留置され、その拡張幅から求めた管腔径は実測の管腔径とよく一致した。さらに、上記の方法で算出した血流量も電磁流量計からの測定値とよく一致したが、流量3L以上では、とくに管腔径が大なもので試作カテ-テルからの流量が若干高値をとる傾向があった。イヌ大動脈内の測定でも両者はよく一致したが、カテ-テルからの流量が5%程度高値を示した。また、ワイヤ-非拡張時に求めた血流量は、拡張時流量の75ー80%減となった。以上の結果は第55回日本循環器学会に“血管内留置型血流量測定カテ-テルの試作、及びその精度と問題点"として発表し、また脈管学31卷(p1429ー1434)に“ドプラ-カテ-テルを用いた血管内留置型血流量測定カテ-テルの試作"として掲載した。現在は、臨床応用に向けた改良を試みている。
|