研究概要 |
ラット中大脳動脈閉塞モデルを用いて経時的に脳を摘出しmyeloperoxidase(MPO)活性を測定し虚血後8時間及び20時間目にピ-クを有する2相性の活性値の上昇が見られることを見出し、虚血巣の進展拡大に虚血巣内への白血球浸潤が極めて重要な役割を果たす可能性の有ることを「脳と神経」に論文として報告した。また、主題である活性酸素の経時的測定に関しては、ラット前脳虚血モデルを用い、in vivo microdialysisの手法にHRPーScopoletinを組合わせ過酸化水素による蛍光の減弱を蛍光分光光度計で連続的に測定する方法として確立し、虚血時に放出される過酸化水素の連続的測定に成功した。過酸化水素自体は脳内に存在するカタラ-ゼ、あるいはグルタチオンペルオキシダ-ゼにより巧みに処理されているので、私共はあらかじめカタラ-ゼの阻害剤である3ーamino,1,2,4ーtriazoleを投与しておくことにより脳内で発生した過酸化水素が透析液中に透析されるのを巧く測定できる事を見出し、従来過酸化脂質の生成等で活性酸素は虚血中には生じず、虚血後再潅流時に初めて生じるであろうと推察されてきた事を過酸化水素の放出として直接的に証明出来た。さらに、過酸化水素が生成され、より生体にとって有害とされるハイドロキシラジカルの産生を捉らえるためにあらかじめ、サリチル酸を投与しておくことで同じく脳内微小透析法を用いてサリチル酸がハイドロキシラジカルと反応して生じる2,3ーdihydroxybenzoateを高速液体クロマトグラフィ-を用いて測定し、虚血後再潅流時HRPーScopoletin法で確認した過酸化水素の放出のあることを再確認するとともにハイドロキシラジカルの生成をも証明しようとしている。
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