研究課題/領域番号 |
03670718
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
後藤 文夫 北里大学, 医学部, 教授 (00092015)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | Ca拮抗薬 / ヒト心房性Na利尿ホルモン / 腎 / 無機リン再吸収率 / 尿細管再吸収率 |
研究概要 |
術中に速効性の降圧利尿薬が必須となる高血圧手術患者が増加している。今回、カルシウム(Ca)拮抗薬およびヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチド(hANP)を中心に手術患者の血圧調節能と腎への作用点を解析した。また、犬を用いて腎動脈に薬剤を注入し、腎への直接作用をヒトのデ-タと比較検討した。 ニカルジピンまたはhANPの静注により、手術患者の血圧は速やかに正常域に低下した。脈拍には有意な変化を認めなかった。尿量はニカルジピン群、hANP群ともに投与前の4倍上以に増加し、その増加率はhANP群が高いが、両群間に有意差を認めなかった。糸球体濾過値(Ccr)にニカルジピン群で増加傾向を認めたが、減少した症例も含まれるために統計的な有意差を認めないのに対して、hANP群は全例Ccrが増加した。Na排泄率(FENa)並びに無機リン排泄率(FEp)は両群ともに増加したが、遠位尿細管の再吸収阻害率を示す、distal tubular rejection fraction of Na(DTRFNa=100ー100(FEpーFENa)/FEp)はhANP群のみ増加した。 犬の腎動脈に微量のニカルジピンを注入し、全身循環に影響しない実験においても、ヒトのデ-タと同様に、顕著な尿量の増加を認めた。尿細管再吸収率に関しては、FEpは増加したがDTRFNaには有意な変化を認めなかった。 以上の成績から、Ca拮抗薬はおもに近位尿細管の電解質再吸収率を低下させて利尿作用を発現するが、hANPはGFRの増加、近位並びに遠位尿細管の再吸収を抑制して顕著な利尿作用を発現することが明らかにされた。 尚、ルミネッセンスリ-ダを用いた活性酸素の産生量と腎機能の相関に関するデ-タは現在検討中である。
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