研究課題/領域番号 |
03670727
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
橋本 秀則 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (10192270)
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研究分担者 |
佐藤 正樹 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
八塚 秀彦 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00158015)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1991年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 完全全脳虚血 / 硫酸マグネシウム / 遅発性脳血流減少 / 神経学的予後 / 血液脳関門 / イヌ |
研究概要 |
本研究において硫酸マグネシウム(Mg)は、Flinkの低Mg血症時の補正法を参考にして投与した。その結果、有意の虚血後の神経機能の改善効果を得、かつ心拍数、平均動脈圧、心係数等の体循環系への影響が最も少ないMg(マグネゾ-ル^R、Mg:813mEq/L)投与法は、虚血解除直後より15分間に3.2ml/kg/h、15分後より3時間後まで0.4ml/kg/h、以後48時間後まで0.1ml/kg/hであった。本投与法での血中Mg濃度は臨床的に治療効果が認められている子癇の治療濃度(4ー6mEq/L)に近似していた。本投与法で、脳血流再開後の遅発性脳血流減少(DHP)が有意に改善され、脳脊髄液(CSF)中のMg濃度の有意の上昇を認めた。DHP改善作用はMgの血管内皮細胞におけるCa拮抗作用の結果と考えられた。コントロ-ル群においてMgはCSF中へ移行しがたく、虚血後には容易に移行したことより、本研究における脳虚血(植物状態を惹起する脳虚血時間)後には血液脳関門の透過性が亢進したことがうかがえた。一般に脳保護効果の期待されたCa拮抗薬、興奮性アミノ酸拮抗薬などは一過性脳虚血後の脳保護善効果が認められているが、心停止蘇生後のような重度の完全全脳虚血後の脳保護効果は認められていない。現時点において、虚血性脳障害は虚血中あるいは虚血後の興奮性アミノ酸の過剰放出に伴い、CaーchannelやAMPA、Kainate、NMDA、APー4などの興奮性アミノ酸受容体、あるいはIPーcycleなどを経由した細胞内Caの過剰流入とそれに続く代謝障害により惹起されると考えられている。したがって、これらの経路の一つをブロックしても脳保護効果が期待できないことがうかがえる。ここで、MgはL、T、N型のCaーchannel以外に、NMDA受容体を含むreceptorーoperated Caーchannel、leakーoperated Caーchannel、NaーCa交換機構など広範な非特異的なCa拮抗作用を有する。これらの作用によりMgは虚血後の神経機能の改善効果を発揮したものと推察される。
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