研究概要 |
3種の基底膜構成蛋白(Laminin,Fibronectin,Type IV collagen),胎盤蛋白PP_<14>,CA125,CA130,CA602の正所性子宮内膜、異所性子宮内膜(内性、外性)における局在を月経周期との関連において検索した。PP_<14>は正所性子宮内膜では分泌期に局在が明瞭になり、外性子宮内膜でも同様の結果であった。内性子宮内膜では分泌期においてもその局在は著明ではなかった。3種の基底膜構成蛋白の局在に関しては月経周期での差異は認められず、外性子宮内膜は正所性子宮内膜と同様の局在を示したが、内性子宮内膜では染色性が低下した。CA125,CA130,CA602の局在は正所性子宮内膜では分泌期に明瞭になり、外性子宮内膜でも同様の結果であったが、内性子宮内膜では分泌期での局在がさらに増強した。3種の基底膜構成蛋白、胎盤蛋白PP_<14>,CA125類似腫瘍マーカーを用いた免疫組織学的検索の結果、外性子宮内膜はすべて正所性子宮内膜と同調を示し、内性子宮内膜は解離を示した。この事より内性、外性子宮内膜症発症の成因に関する差異が示唆された。子宮内膜症患者における血中PP_<14>,CA130,CA602値を測定しCA125値と比較した。PP_<14>については血中値測定のためのEIAを競合型固相法により組み立てた。CA130,CA602値は市販のキットを用いて測定した。各種婦人科疾患患者における血中PP_<14>値は子宮内膜症を除いてすべて低値で、内性、外性子宮内膜症患者においてはそれぞれ44%,20%の治療前血中高値率であった。しかしCA125のそれぞれ83%,36%に比して低値で、PP_<14>は子宮内膜症のスクリーニングマーカーとしては不適と思われた。CA130はCA125同様子宮内膜症で平均110U/ml,高値率64%と高値を示し、治療経過もよく反映した。CA602についての結果も同様であり、CA130,CA602の子宮内膜症マーカーとしての臨床的有用性が示された。
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