| 研究課題/領域番号 |
03670782
|
|---|
| 研究種目 |
一般研究(C)
|
| 配分区分 | 補助金 |
|---|
| 研究分野 |
産婦人科学
|
|---|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
伊原 由幸 京都大学, 医学部, 助手 (10223299)
|
|---|
| 研究分担者 |
中尾 一和 京都大学, 医学部, 教授 (00172263)
佐川 典正 京都大学, 医学部, 講師 (00162321)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
| 研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
| 配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
|---|
| キーワード | atrial natriuretic peptide / brain natriuretic peptide / エドセリン / 妊娠中毒症 / 胎児仮死 / 胎盤 / 羊膜 / 羊水 / エンドセリン |
|---|
| 研究概要 |
正常妊娠の母体血のendothelin-1-like-immunoreactivity(ET-1-LI)は妊娠期間中変化せず、正常非妊婦の値とも差がなかった。また正常分娩より得られた臍帯動、静脈血のET-1-LIは差がなく、母体血ET-1-LIの約3倍であった。また胎児仮死では臍帯静脈血ET-1-LIが有意な上昇を示し、臍帯静脈血BNP、ANP(後述)とよく相関していた。
妊娠末期の妊娠中毒症妊婦より得られた母体血ET-1-LTは正常妊婦の値より有意に高値であり、ETがなんらかの形で妊娠中毒症の病態に関与していることが示唆された。
母体血と臍帯血をgel permeation chromatography(GPC)を用いて検討したところ母体血ET-1-LIは6K ETとET-1、臍帯静脈血ET-1-LIはbig ET-1とET-1とおのおの異なる二つの分子種より構成されていた。
羊水ET-1-LIは妊娠末期に上昇し、母体血ET-1-LIの約3〜4倍となった。GPCを用いて検討したところ、妊娠中期の羊水では6K ETのみから、また末期の羊水では6K ETとET-1の二つの分子種から構成されていた。このことは生物学的活性を有するうETが末期の羊水で著明に増加することを意味していた。さらに、羊膜細胞を培養すると上清中にET-1-LIが出現し、また胎盤にはET_AR、ET_BRの2種類のET receptorが存在することから、ETが陣痛初来の機序に関与している可能性があることが示唆された。
重症妊娠中毒症の母体血BNP値は正常妊婦の約7倍となり、有意に高値を示した。また重症妊娠中毒症では母体血ANP値も正常妊娠母体血値の約3倍となり、有意な上昇を示した。また胎児仮死症例における臍帯静脈血BNP値は正常妊娠臍帯血の約11倍とない、有意に高値を示した。また胎児仮死症例では臍帯静脈血BNP値も正常妊娠臍帯血値の約5倍となり、有意な上昇を示した。これらのことから、妊娠、特に妊娠中毒症時の母体循環や胎児循環の調節にBNP、ANPが関与している可能があると考えられた。
正常妊娠各時期の羊水中にはBNPが存在したが、正常妊娠いずれの時期の羊水中にもANPは検出できなかった。Nothern法を用いて羊膜、絨毛膜、脱落膜の各組織を検討したところ、羊膜組織にのみBNP mRNAのバンドが検出されたが、ANP mRNAはいずれの組織にも検出されなかった。さらに羊膜細胞を培養で上清中にBNPが証明され、PCR法を用いてこの培養羊膜細胞からBNP mRNAが照明された。これに対して、羊細胞の培養上清中にANPは検出されなかった。以上のことから、羊膜細胞はANPは産成せず、BNPを産成すること、また羊水中にBNPを分泌することが明らかになった。
|
