研究概要 |
Down症候群(21-トリソミー)の両親および患児より採血し、リンフォプレップを用いてリンパ球の分離を行いフェノールクロロホルム法によりDNA抽出した。DNAを制限酵素にて切断し、アガロースゲル電気泳動の後、ゲルからナイロンメンブランヘとペーパータオル法によるサザントランスファーを行った。ブロッティングの終了したナイロンメンブランに対し、JCRBより供給を受けたRFLPマーカー((1)D21S16(2)D21S17(3)D21S113(4)D21S15(5)D21S19(6)D21S82)をnon-radioactiveなdigoxigeninで標識し、ハイブリダイゼーションを行い、ELISA法による発色反応により検出した。 以上の研究と平行して受精時における21-トリソミーの頻度を検討する目的で、IVF-ETの患者より得られたヒト未受精卵を用いて、第1減数分裂終了時における21番染色体の異常率を検索した。染色体標本の作製は、美甘・上口の漸進固定空気乾燥法により行った。標本作製した297卵のうち染色体分析可能卵は148卵(49.8%)で正常卵116卵(78.4%),異常卵32卵(21.6%)であった。異常卵の内訳はhyperhaploidy7卵(4.8%),hypohaploidy7卵(4.8%),diploidy12卵(8.1%)およびstructural anomaly6卵(4.0%)であった。hyperhaploidy7卵のうちDown症候群発生の原因となるG群の異常は1卵で、分析可能卵子の0.68%と低率であった。 一方、精子の21番染色体異常率を検索する目的でFluorescence in situ Hybridization(FISH)法を21/13番染色体α-サテライトDNAプローベを用いて精液所見に異常のない6例について施行した。それぞれ3000個の精子をカウントし、シグナルが3個認められた精子の率は0.71%で21番が過剰であった精子の率は0.36%であると推定された。
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