研究概要 |
卵巣における細胞の発育排卵は種属保存の観点から非常に重要な役割を果たしている。未熟卵が受精能に獲得するためには、下垂体からのゴナドトロピンに反応して卵胞が発育する必要がある。その過程には、顆粒膜細胞が増殖し、ついで分化する事が必須である。その顆粒膜細胞の増殖機構に関しては現在ほとんど分かっていないのが現状である。そこで腫瘍遺伝子、特に本研究ではcーfosとCーmycが、ゴナドトロピンに反応して顆粒膜細胞における発現が増加するか否かを検討した。 未熟WisterラットにPHSG20IUを腹腔内に投与し、投与30後に断頭して卵巣を摘出した。卵巣より顆粒膜細胞を注射針で吸引し、ついで遠心して採取した。細胞は細胞数を算決した後ソニケ-トし、ついで塩化セシウム層績後遠心してRNAを抽出した。ついでエタノ-ル沈澱させたRNAをポリアクリルアミドゲルにて泳動し、フィルタ-に移し、 ^<32>Pで標識したcーfos,cーmycのcDNAとハイブリダイズ後、オ-トラジオグラフィ-、デンシトメトリ-にて発現量を定量した。 その結果は、cーfos,cーmycにPMSG非投与群ではほとんど発現が認められなかったが、PMSG投与群では著明に発現されている事が明らかとなった。一方、エストラジオ-ル、プロゲステロンは対照群と差は認められなかった。 以上により、ゴナドトロピンによってラット顆粒膜細胞では、細胞分裂開始前に、cーfos,cーmycが発現される事が明らかとなった。今後は、これらの腫瘍遺伝子が顆粒膜細胞の分裂増殖にどのような役割を果たしているのか検討すべきと思われる。
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