研究課題/領域番号 |
03670803
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福田 諭 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (20125347)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ウイルス潜状感染 / HSV-1 / VZV / らせん神経節 / 顔面神経膝神経節 / 前庭神経節 / in situ hybridization法 / PCR法 / ウイルス潜伏感染 / 内耳 / HSVー1 / ラセン神経節 / in situ hybrization |
研究概要 |
突発性難聴、ベル麻痺、前庭神経炎、ラムゼイ-ハント症候群がウイルスの神経節への潜伏感染、再活性化により発症する可能性は従来より提唱されてきているが、未だ定かではない。今回この可能性を確認する目的で、ヒト側頭骨内知覚神経節におけるHSV-1、VZVウイルスゲノムの検出を最新の分子生物学的手法を用いて試みた。成人の剖検症例より側頭骨を摘出し、電気ドリルにて削開し、らせん神経節、膝神経節、前庭神経節を得た後、Polymerase chain reaction(PCR)法、in situ hybridization(ISH)法、reverse transcription-PCR(RT-PCR)法を用いて検索した。1)HSV-1 DNAの検索:PCR法にて、らせん神経節では10耳中10耳(100%)、膝神経節では17耳中15耳(88%)、前庭神経節でも10耳中6耳(60%)と高率HSV-1 DNAの増幅を認めた。新生児剖検症例より摘出したいずれの神経節においてもHSV-1 DNAの増幅は検出されなかった。ISH法ではらせん神経節では10耳中0耳(0%)、膝神経節では15耳中11耳(71%)、前庭神経節では10耳中0耳(0%)という結果であった。ISH法にて検出率が低いためさらに鋭敏なreverse transcription-PCR(RT-PCR)法にて検索した処らせん神経節ではやはり8耳中0耳(0%)、膝神経節では8耳中8耳(100%)、前庭神経節では8耳中2耳(25%)であった。らせん神経節では感染細胞数あるいは感染コピー数が少ない可能性が示唆された。2)VZV DNAの検索:PCR法にてらせん神経節では10耳中2耳(20%)、膝神経節では13耳中9耳(69%)、前庭神経節では10耳中2耳(20%)にVZV DNAの増幅を認めた。以上ヒト側頭骨の各神経節でDNAレベルでウイルスの潜伏感染の可能性を分子生物学的に実証できた。一方ISH法、RT-PCR法にてLATの検索を、特に前庭神経節、ラセン神経節にてさらに症例を増やして行い、潜伏感染の有無をはっきりとさせたい。また潜伏感染の可能性が証明されても更にウイルスの再活性化と疾患の発症との間に原因-結果の関係が成り立つのかを証明する必要があり、非常に興味のもたれるところである。
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