研究概要 |
1.睡眠呼吸障害者における睡眠ポリグラフ検査 睡眠呼吸障害症例16名に睡眠ポリグラフを施行した.閉塞型もしくは混合型睡眠時無呼吸症候群(SAS)例は7例,非SAS例は8例であった.閉塞型睡眠時無呼吸発作を観察すると無呼吸発作毎に換気再開約3秒後に指尖血流量の一過性低下(DBF)が認められた.DBFを詳細に検討すると以下の結果が得られた. (1)時間あたりのDBFをDBF Indexと定義すると,SASにおけるDBF Indexの方が非SAS群のそれより有意に高値であった.よって上気道狭窄がDBFに関わっていることが示唆された. (2)DBF Indexと最大中咽頭圧値(mMPA)との間には相関が認められなかった.よって上気道内の吸気時陰圧負荷の増大によってDBFの出現回数が規定されるものではないと考えられた. (3)DBF Indexと血中酸素Desaturation率との間には有意な相関が認められた.よって血中酸素飽和度の低下と末梢血流量の変化との間には何らかの関係があるものと考えられた. 2.睡眠呼吸障害者に対するNasal Continuous Positive Airway Pressure(Nasal CPAP)療法閉塞型SAS1例にNasal CPAP療法を施行した.その結果,無呼吸と血圧変動の改善に要するNasal CPAP圧値,酸素飽和度低下の解消に要するNasal CPAP圧値,指尖血流量変動と上気道狭窄の改善に要するNasal CPAP圧値はいずれも異なっていた.即ち,上気道内に与える陽圧の上昇に伴い血圧,酸素飽和度,指尖血流量,上気道狭窄の順に改善現象が認められた.よって上気道内陽圧に対する呼吸循環器能の対応ならびに吸気時陰圧の軽減にはそれぞれ差異があると結論された.呼吸循環機能検査用の種々の測定器機を有していない施設においては,鼻干消矢を目標にすることはNasal CPAP器機の圧設定における簡易法と考えられた.
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