研究概要 |
1.基視編:犬摘出喉頭の声帯に種々の程度で人工的に硬化病変を作製した。次に気管側から加湿加温された空気を送気し吹鳴させた。その時の声帯振動をストロボスコープ下にビデオ記録した。さらに分析のために超高速度カメラにて撮影した。実験のあとで硬化の部位を組織学的に検討を加えた。硬化の程度が弱い場合は粘膜波動が失われるのが振動に応じてその部位にX軸上の運動がみられた。その画像はあたかも波の上にのっている板のようなもので板そのものには波動がみられないのと似ていた。硬化の程度が強いと粘膜波動が消失すると共に述べたX軸上の運動も失われることがわかった。部位については筋層のみの硬化では粘膜波動の消失はなく、その振幅や位相についての変化があった。今後の課題は硬化の程度を当研究室で開発されたStiffness meterで検討することにあり、両者の相関をあきらかにすることである。 2.臨床編:外来で記録されたビデオグラムが資料である、喉頭ストメボスコ-プを用い,画質のすぐれている喉頭側視鏡によりビデオ記録された。生検や手術時の資料により病理のあきらかになっている症例を遂んだ。声帯癌,角化をともなう炎症,上皮肥厚,異形細胞などが主なものである。いづれも粘膜波動の障害がみられたが,異形の程度が強い程板状の運動も失われる。これらの事実により白色病変のレーザー手術にさいし,資料を得ると同発にどの程度の蒸散をおこなうかの決定が容易になっている。
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