研究分担者 |
溝田 淳 千葉大学, 医学部, 助手 (10239262)
塚本 光俊 千葉大学, 医学部, 助手 (20179980)
上田 昌弘 千葉大学, 医学部, 助手 (70193810)
柿栖 米次 千葉大学, 医学部, 講師 (60126513)
木村 毅 千葉大学, 医学部, 助教授 (80003391)
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研究概要 |
網膜の光障害について,2つの異った実験を行った。1つはモルモットを用いた青錐体系と光障害,2つめは,NaIO_3投与により実験的網脈絡膜変性をマウスに生ぜしめ,ヒトの網膜色素変性症のモデルとして,その光障害が正常網膜より高度であるかを検討目的としたものである。 実験1:3〜6ヶ月齢のモルモットを全麻下で青錐体系を選択的に導出できる先刺激下(黄色,515nm31ogtdの順応光下)で,409〜503nmの範囲の波長感度曲線を網膜電回(ERG)を用いて検討した。この条件下でえられたERGはヒトの青嬰体系と一致し,光曝露により有意に感度の低下することを認めた(第29回国際臨床視覚電気生理学会で発表)。 実験2:C57系マウスにNaIO_3を静注すると網脈路膜変性が生じることが知られている。われわれは,静注后,経時的にERGと組織学的(光顕,電顕)にその病態を観察し,ERGの変化が組織学的変化に先行することを認めた。さらに,組織学的に網膜内層まで侵襲される2日后にはERG振幅が逆に上昇する現象を認めた(Invest Ophthalmol Vis Sci投稿中)。そこで,この時期をねらって,30000Lx,30分間光に眼を曝露し,すでにヒトの網膜色素変性症様の変化のある網膜が光曝露により,正常網膜の場合より障害をうけるかを検討した。その結果,組織学的には光曝露の影響は認められないにも拘わらず,ERGは,振幅減少,閾値上昇を認めた。この変化はNaIO_3投与群で有意に高度の異常を認めた。さらに,NaIO_3非投与のコントロ-ル群では恢復を認めなかった。以上の所見はヒトにおける網膜変性例では,光曝露(本実験で用いた条件は顕微鏡下で30分手術を行う条件に担当)に弱いことを示すものであり,臨床的により注意を払うべきであることを実験的に裏づけるものである(別途の研究公表項目参照)。これをもとにさらに青錐体系について研究予定である。
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