研究課題/領域番号 |
03670847
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
二階 宏昌 広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)
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研究分担者 |
伊藤 博司 (伊東 博司) 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
高田 隆 広島大学, 歯学部, 助教授 (10154783)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 唾液腺腫瘍 / 小唾液腺 / 組織分類 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / World Health Organization / 腫瘍分類 / 増殖活性 / PCNA / AgNOR / 低悪性度腺癌 / 筋上肢腫 / 口腔病理学 |
研究概要 |
本研究では、唾液腺腫瘍WHO国際分類の改訂に当たって新たに採択される、特に低悪性度の腫瘍型を中心に、構成細胞の免疫細胞化学的および超微的特徴を確立することにより、各腫瘍型分類の妥当性、病理組織学的診断基準を検討するとともに、一部腫瘍型の亜型についても解析した。その結果、主な知見として、1)筋上皮腫は多形性腺腫の亜型と見なされ、両者の良性型の境界は確定できないが、悪性筋上皮腫は多様な細胞成分に共通した免疫染色性に基づいて別個に分類・診断すべきである。2)多形低悪性度腺癌は小唾液腺固有の超低悪性の腺癌であり、異型を欠く均一な細胞の多様な配列形状より診断できるが、鑑別・確定診断には、上皮(CK,EMA)と腫瘍性筋上皮のマーカー(特にS100/Vimentin強陽性)の発現を合併した免疫染色性の証明が必須要件と考えられる。3)腺様嚢胞癌、基底細胞腺腫、同腺癌、上皮筋上皮癌、多形性腺腫に共通して見られる2相性管状構造の内・外層構成細胞の細胞学的所見と免疫染色パターンはそれぞれ特徴的であり、これらの鑑別に有用である。4)当初から低悪性の経過を辿る多形性腺腫の存在することが明らかであり、今後、悪性混合腫瘍グループに第5番目の亜型として加える必要がある。5)粘表皮癌の高悪性型(低分化型)に関しては、異種の腫瘍型を包含する可能性が残る。6)富グリコーゲン性明細胞から成る唾液腺腫瘍は、雑多な腫瘍型を含み、今回の検索材料にも、明細胞型の粘表皮癌、悪性筋上皮腫、明細胞優位型の上皮筋上皮癌、分類不可能な低分化腺癌の存在を確認できたことから、独立型として分類することは妥当でない。これらの知見に加えて、一部の腫瘍、例えば腺様嚢胞癌における組織パターンによる型分類が必ずしも臨床的態度の信頼できる予知因子とはならないことが判明し、今後の唾液腺腫瘍研究の方向を個々の症例における腫瘍細胞の増殖活性や悪性潜能の評価手段の検討に向ける必要性が示唆された。
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