研究概要 |
この研究は骨改造の各期骨面に存在する毛細血管床の3次元微細構築形態と床量の関係を明らかにし、かつ量的に把握可能であるかその可能性を明らかにすることを目的とした。 ウィスター系ラット頭頂骨外側面における骨改造各期の形態特徴は明瞭で4週令の個体では中央部に骨形成面が、その外帯に骨吸収面が、さらにその外縁に骨形成面、場所によっては骨吸収面が存在していた。6週令の個体では中央部には骨休止面が多く、骨形成面はその外帯に、骨吸収面はその痕跡の一部が外帯に残っているのが観察された。従って骨形成期あるいは骨吸収期を一度に検索するには前者が、骨休止期の検索ならば後者が適することが判明した。 血管構築は小動・静脈,前・後毛細管動・静脈,毛細血管の網工であったが、毛細血管床は骨改造のいずれの期でも多くは骨面から離れて存在し、毛細血管は蛇行し、不規則な網眼をもつ単層の構造であった。骨改造の各期と血管床の関係は、骨形成面では毛細血管は比較的蛇行の強い血管枝で不規則の網眼をつくり、網工は骨吸収面のそれより密で、従って骨単位面積に対する血管床の量は多かった。骨吸収面では蛇行の弱い血管枝が不正円形の網眼を作り、それは骨休止面のそれよりは密で骨単位面積に対する血管床の量は骨休止面のそれよりは多かった。骨休止面では幾分か蛇行の強い血管枝が粗大な不正円形の網眼をつくり、それは骨形成面,骨吸収面のそれらよりは最も粗であり、故に骨単位面積に対する血管床の量は一番少なかった。 この結果は組織連続切片の2次元画像解析でも裏付けられたが、走査電顕所見と比較可能な3次元画像の描図を作成することは今回の方法では困難であることがわかり、これを利用して各期の量を数量化することは難しいと思われた。
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