研究概要 |
前年度までに,Fisherラットを用いたニフェジピンの経口投与により歯肉増殖を誘発する動物実験系を確立した。この実験系を用いて,ニフェジピン血中濃度,投与期間,加齢,性差等についてその歯肉増殖への影響について調べた。 飼料中ニフェジピン濃度が150mg/kg以上で飼育した場合,それ以下と比較して有意に歯肉増殖を認めたが,それ以上の250,350mg/kg・diet間では歯肉増殖に有意差は認められなかった。また150mg/kg・diet以上の場合,血中ニフェジピン濃度は約800mg/mlとほぼ一定となり,以上の事から歯肉増殖における血中ニフェジピン濃度の閾値の存在が示唆された。 ニフェジピン250mg/kg・dietを含む飼料にてラットを飼育した場合、投与後30日で既に歯肉増殖が認められ,以降70日まで持続した。 20,50及び90日齢ラットを、各々ニフェジピンを含む飼料にて飼育した場合、20日齢ラットのみ歯肉増殖が認められた。このことから,加齢と共に歯肉増殖の頻度が低下する事が明らかとなった。 雌雄20日齢ラットを用いて,その歯肉増殖を比較したところ,性差は認められなかった。 ニフェジピン歯肉増殖症の治療法としては,現段階においては服用中止か他剤への変更のみである。そこで本実験モデルにおいて薬剤投与中止による歯肉増殖への影響を調べた。ニフェジピン投与により歯肉増殖を起こしたラットを,その後40日間投与を中止した場合,正常歯肉と同程度まで歯肉増殖は減少した。このことから,本実験モデルにおいても歯肉増殖の維持には持続的ニフェジピン投与が必要であると示唆され,ヒトの臨床像を良く反映していると考えられる。
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