研究課題/領域番号 |
03670947
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科・放射線系歯学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池本 清海 九州大学, 歯学部, 教授 (90091272)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ラット脳 / 孤束核 / 単離神経細胞 / パッチクランプ法 / GABA / 吸入麻酔薬 / 揮発性痙攣薬 |
研究概要 |
我々は生後約1週令のウィスタ-ラットの脳を摘出し、そのスライス標本を酵素処理して孤束核の神経細胞を単離した。パッチクランプ法のホ-ルセルモ-ドを用いて神経細胞を膜電位固定し、GABAで誘起される細胞膜電流を記録して、それに対する揮発性吸入麻酔薬及び揮発性痙攣薬の作用を観察した。伝達物質及び薬物の投与には「Yチュ-ブ法」を用いた。吸入麻酔薬及び痙攣薬は、細胞外潅流液に直接溶解した。 GABAは単離神経細胞において、抑制性のCl^ー電流を誘起した。このことは、その逆転電位がCl^ーの平衝電位に近いことから確かめられた。吸入麻酔薬ハロセン(Hal)は臨床使用濃度(0.1〜1mM)において、3μMGABAによるCl^ー電流を最大約2倍まで増大した。この増大の解離定数は230μM、ヒル係数は1.6であった。ペントバルビタ-ル及びムシモ-ルによるCl^ー電流もHalにより同様に増大し、この作用がGABAーA受容体に対するものであることが示された。この増大作用はベンゾジアゼピンアンタゴニストによって影響されなかった。即ち、Halの作用はベンゾジアゼピン受容体を介しないことが示唆された。Hal(1mM)はGABAの用量ー作用曲線を左方に移動し、GABA受容体のGABAに対する親和性を上昇させることが示された。エンフルレン(Enf)も同様の作用を示した。 これに対し揮発性痙攣薬(ヘキサフルオロジエチルエ-テルHFE)はGABA反応を強く抑制した。その解離定数は87μM、ヒル係数は0.84であった。100μM HFEはGABAの用量ー作用曲線を右に移動した。 以上のように麻酔薬(Hal及びEnf)と痙攣薬(HFE)は同様に脂溶性物質でありながらGABA反応に対して全く反対の作用を示した。従ってこの様な薬物も膜の流動性のみでなく、何らかの機序により蛋白質に作用して神経系の機序を変える可能性が示された。
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