研究概要 |
(1)正常口腔粘膜上皮の基底膜構成成分の局在に関する免疫走査型電子顕微鏡学的研究 生検時のヒト正常口腔粘膜を検索材料として10nmの金コロイドで標識したTypeIVCollagen,Laminin,Fibronectinに対する抗体を用いて、その局在を走査型電子顕微鏡に付設されているアニューラ型反射電子像観察装置により反射電子像として観察し、二次電子像と重ねあわせて検索した結果、基底膜部にTypeIVCollagen,Laminin,Fibronectinともに局在が認められた。 (2)口腔粘膜前癌病変における基底膜構成成分の局在に関する免疫走査電子顕微鏡学的研究 正常口腔粘膜と同様の方法で、生検時および手術時のヒト口腔粘膜前癌病変、特に白板症と乳頭腫について検索した結果、基底膜の周辺、すなわち、上皮と上皮下結合組織の接合部にTypeIVCollagen,Laminin,Fibronectinの局在が認められた。 (3)口腔扁平上皮癌における基底膜構成成分の局在に関する免疫走査型電子顕微鏡学的研究 (1),(2)と同様の方法で、口腔扁平上皮癌の摘出材料について検索した結果、癌胞巣周囲(間質との境界部)にLamininとFibronectinの局在が認められたが、TypeIVCollagenの局在は認められなかった。 以上の結果より、正常口腔粘膜の基底膜構成成分であるTypeIVCollagen,Laminin、Fibronectinは、前癌病変から口腔扁平上皮癌へ変化していく過程で基底膜が破壊されて、その分布・局在も変化していくことが明らかとなった。
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