研究概要 |
これまでの研究でsevofluraneは摘出イヌ腸間膜動脈においてacetylcholineによる内皮細胞依存性弛緩反応を抑制し,この抑制は活性酸素ラジカル(・O_2^-)のスカベンジャーであるsuperoxide dismutase(SOD)によって阻害されることを確認した。摘出ウサギ腸間膜動脈を用いた実験においても同様の結果が得られ,sevofluraneはacetylcholineによる内皮細胞依存性弛緩反応を有意に抑制し,SODはこの抑制を回復させたが,nitroglycerinによる内皮細胞非依存性弛緩反応には何の影響も及ぼさなかった。これらの結果はsevofluraneによる内皮細胞依存性弛緩反応の抑制が内皮細胞内での内皮細胞由来弛緩物質(EDRF)の合成抑制か,内皮細胞から遊離されたEDRFの不活性化にあるのか,また,両者に対するものであることを示唆する。そして,これには・O_2^-が直接にリンクしている可能性がある。 抽出ウサギ腸間膜動脈を用いた実験において,4%sevofluraneはnorepinephrineの用量-反応曲線を下方移動させるが内皮保持血管の検討のみしか行っていなかったため,alpha-receptorを介する収縮段階の抑制と断定することはできなかった。しかし,内皮除去血管を用いても同様の結果が得られたことから4%sevofluraneは,alpha-receporを介する収縮段階を抑制することが判明した。この抑制反応はSODでは阻害されず・O_2^-とは無関係であった。そこでさらに4%sevofluraneのalpha-receptorを介する収縮段階の抑制について詳細に検討を加えた結果,血管平滑筋細胞外からのCa^<2+>流入抑制が関与し血管平滑筋内Ca^<2+>ストアーからのCa^<2+>遊離は関与していないことも判明した。
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