研究概要 |
先ず分子内二重ミカエル反応の一般化を計るため、基質と反応条件の関連性を解明し、基質の分子環境と反応条件が本反応の立体,配向および位置選択性に大きく関与することを明らかにした。このことにより分子内二重ミカエル反応の持つ大きな特徴をより明確にすることができた。これらの事実に基ずき、シテルペン系アルカロイドの一種デヌダチン合成の鍵中関係となりうる五環性化合物を高効率下に立体選択的に不斉合成することに成功した。 次いで複数結合同時構築法の発展・拡大を目的として検討を加え,β-チオエノン系での分子内二重ミカエル反応を開発することができた。なお本反応(硫黄媒介型分子内二重ミカエル反応)は極めて高い立体選択性のもとに進行し、上記の分子内二重ミカエル反応では進行しえない系へ適用しうる応用範囲の広い新化学反応どある。さらにこの新反応の機構について検討し、硫黄原子が反応に際し極めて重要な役割を果していることを明らかにすることができた。 さらに従来、不可能とされてきた酸ハライド類のミカエる反応も、反応系を分子内反応として改変することにより、極めてスム-ズに反応が進行することを発見し、ミカエル反応の適用範囲を大きく拡大することができた。なお新反応,連続的酸無水物形成・分子内ミカエル反応は、基質にキラル補助剤を組込むと極めて高い光学純度で目的の得られることも見出した。 最後に基質の修蝕により新化学反応、連続的分子内ミカエル・アルド-ル反応を開発し,シクルブタン系の新構築法の開拓に成功した。 上記のごとく、著者は(1)分子内二重水ミカエル反応の一般化,(2)硫黄媒介型二重付加反応の開発,(3)連続的酸無水物形成・分子内ミカエル反応,(4)連続的ミカエル・アルド-ル反応の開発に成功した。
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