研究課題/領域番号 |
03671013
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
橋本 俊一 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80107391)
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研究分担者 |
柳谷 由己 帝京大学, 薬学部, 助手 (10200544)
本田 雄 帝京大学, 薬学部, 助手 (60173663)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 含リン脱離基 / グリコシル化反応 / 1,2-トランス-グリコシド / 1,2-トランス-マンノシド / 2-デキオシグリコシド / ビス(ジメチルアミド)ホスファート / ジフェニルホスフィンイミダート / ホスホロチオアート / 2-デオキシグリコシド / 2ーデオキシグリコシド / アドリアマイシン / ビス(ジメチルアミド)ホスファ-ト / ホスホロチオア-ト / ジフェニルホスフィンイミダ-ト / ホスホロジアミドイミドチオア-ト |
研究概要 |
リン原子は種々の元素で修飾容易なことから多様性に富む脱離基の設定が可能であり、糖の種類、保護基の種類、種々の結合様式に対して最も適切ないわゆる“tailor-made"な糖供与体合成が容易に行えるものと期待される。我々は現在までに、ジフェニルホスファート、ジフェニルホスフィンイミダート、或いはホスホロジアミドイミドチオアートを脱離基として組み込んだ糖供与体を基盤とする高立体選択的グリコシル化反応を達成している。これらは従来法に比し、それぞれ際だった特徴を有する。例えば、ジフェニルホスファートを用いると、2位の隣接基関与を伴う系はもとより、隣接基関与を伴わない系においても極めて高い立体選択性で1、2-トランス-β-グリコシドを生成する。ジフェニルホスフィンイミダート法は、とくに酸に不安定なアグリコンのグリコシル化に威力を発揮し、従来極めて困難な課題とされてきた強心配糖体、および抗腫瘍性ポドフィロトキシン配糖体合成を可能にした。また、ホスホロジアミドイミドチオアートを用いると、極めて緩和な条件下、1、2-シス-α-グリコシドが高立体選択的に得られる。いずれの場合も、反応剤として銀、水銀塩等の重金属塩を必要としない。しかし、なおリン原子の修飾は多くの可能性を残している上に、対象とした糖の種類も少ない。 本研究では、新たな脱離基の探索及び系の拡大に努めた。その結果、ビス(ジメチルアミド)ホスファートを組み込んだ糖供与体は、ジフェニルホスファートを用いた場合に比べ更に安定で取り扱い易い上に、反応剤としてTMSOTfのみならずBF_3・OEt_2も適用できることが判明した。そして、この脱離基を組み込むことにより、多くの抗癌性抗生物質合成に不可欠な2-デオキシ糖、及び糖脂質、糖タンパク質合成に必須な2-アミノ糖についての高収率、高選択的、かつ経済性に優れたグリコシド結合形成反応を達成することができた。また、これらの成果は、今後“armed/disarmed"糖供与体概念に基づくオリゴ糖鎖構築を展開する大きな依り所となっている。
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