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Digoxin及びdigitoxinなどの強心配糖体は鬱血性心不全の治療に広く使用されるが、狭い治療域のため血中濃度の測定は不可欠である。これら薬物のアッセイには免疫測定法が用いられるが、抗体の特異性が低く代謝産物との交叉反応が大きな問題である。今回、digoxinの糖鎖構造のC-3′位又はC-3′′位の水酸基をウシ血清アルブミン(BSA)との結合位置とした抗原を合成し、これを用いて産生する抗血清の特異性をラジオイムノアッセイ(RIA)により検討した。また、digitoxin3′‐hemisuccinate‐BSA結合体により得られた抗血清を用いて、RIAによる血中digitoxinの測定法を確立した。この抗血清及びdigitoxin末端糖のBSA結合体を用いて調製された市販抗血清を使用し、digitoxin投与患者の血中濃度を比較した。
1.新規ハプテンを用いた抗digoxin抗血清の調製と特異性:Digoxinをホルミル化し、無水コハク酸にて未反応の水酸基をhemisuccinateに誘導後、保護基に除去して3′‐hemisuccinate及び3′′‐hemisuccinateを精製した。これらをρ‐nitrophenyl esterに導き、BSAと反応させハプテン-BSA結合体とした。抗原を家兎に免疫して得られた抗血清の特異性は、標識抗原に^3H‐digoxinを用いるRIAにより検討した。Digoxin3′‐hemisuccinate‐BSAより得られた抗血清は、代謝産物のdigoxigenin bisdigitoxoside(0.6%)、digoxigenin monodigitoxoside(0.9%)、digoxigenin(0.1%)及びdihydrodigoxin(2.1%)との交叉反応率が低く、高い特異性を有していた。
2.Digitoxin投与患者の血中濃度測定:Digitoxin3′‐hemisuccinate‐BSAにより得られた新規抗血清は、糖鎖部を良く認識していた。この抗血清及び市販抗血清を用いたRIAによりdigitoxin投与患者の血中濃度を測定したところ、それぞれ10.0ng/ml、12.4ng/ml(平均、n=34)であり、新規抗血清は特異性の高いものであった。
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