研究課題/領域番号 |
03671045
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 勉 東京大学, 薬学部, 助教授 (00143503)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | セレクチン / 接着分子 / 血小板 / 白血球 / 活性酸素 / 炎症 / 糖鎖 / 細胞接着 / サイトカイン |
研究概要 |
1)いわゆる炎症性サイトカインと呼ばれるインターロイキン1やインターフェロンγを低濃度のトロンビンと組み合わせて血小板に作用させると、血小板活性化の一つの指標であるセロトニンの放出反応が上昇し、また同時に白血球との接着反応も増強されることが判明した。この白血球-血小板接着反応は抗P-セレクチン抗体で阻害されること、および血小板表面のP-セレクチンの表出量が増加していることから、P-セレクチンを介するものであると考えられた。このことは、血小板が炎症局所では活性化されやすい状況にあることを示唆している。 2)P-セレクチンを介した血小板の好中球や単球への白血球機能にどのように影響するか検討した。その結果、活性化血小板が好中球や単球に接着するとこれらの白血球における活性酸素の産生が亢進することがわかった。この亢進は、抗P-セレクチン抗体あるいはリガンド分子であると考えられている糖鎖構造シアリルルイスXに対する抗体によって阻害されることから、P-セレクチンを介した接着によって誘導されたものと考えられた。この結果から、この接着反応は白血球を炎症局所に集積させることに寄与しているばかりでなく、接着によって白血球細胞内にシグナルを伝達し、白血球機能を調節していると考えられる。この発見は、活性化血小板や血管内皮細胞が白血球に接着することによって白血球機能が修飾されることを初めて示した点で画期的なものと考えられる。好中球や単球の産生する活性酸素は、外界から侵入した細菌などを殺傷するための実効分子として重要であるが、一方では動脈硬化や虚血再灌流に伴う血管損傷の原因物質の一つであると考えられており、産生の調節機構を明らかにすることは、血管系の病態の解明のための重要な鍵を握ると考えられる。
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