研究概要 |
1.初年度ホスファチジルセリン(PS)合成酵素に対する抗体を作製した。本抗体を用いることによりPS合成酵素の細胞内存在部位を検討した結果,小胞体膜に存在することを示唆する結果が得られた。今後他の方法によりさらに確認する予定である。 2.初年度作製した抗体はPS合成酵素のC未付近のオリゴペプチドを抗原として作製したものである。さらに抗体価の高いものを得るため,異なるオリゴペプチド3種を合成し,これらを用いて抗体を作製した。現在,抗体の精製等を実施中である。 3.PS合成酵素を抗体カラムを用いて精製するため本酵素の可溶化を試みた。約20種の界面活性剤を用いて検討したが,酵素活性を保持して可溶化できるものはまだ見出されていない。今後は異なる界面活性剤を混合する等して可溶化条件をさらに検討する。 4.初年度遺伝子ターゲティング法によりPS脱炭酸酵素欠損CHO変異株の樹立を試みた。本酵素をコードするゲノムDNAの塩基配列を決定し,これにneo遺伝子を挿入することにより遺伝子破壊を行い,この破壊遺伝子をCHO-K1細胞に導入し,PCR法により目的の変異株をスクリーニングした。段階希釈法により3つの候補株を得た。これらのうち1株を精製し,PS脱炭酸酵素活性を測定した結果,野性株と差が見られなかった。このことは,破壊された遺伝子はもともと不活化されていた可能性を示唆している。今後,もう一方の遺伝子を破壊する方向で研究を発展させる予定である。
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