研究概要 |
神経活動などの生体電気信号,血流速度信号,心拍出量等の生体力学信号など,生体内で発生する種々の信号を長時間にわたって記緑,解析することは生体の機能を解明する上でも,種々の疾患の発生機序を明らかにする上でも重要である。 本研究の最終目標は,センサ,刺激電極,記緑解析ならびに通信用のコンピュータなど,生体内信号の記緑,解析に必要な一切の要素を体内に埋め込み,いわば生体内信号記緑解析ステーションを実現することによって,生体の内部で発生する種々の生体信号を直接記緑,解析する手法を確立しようとするものである。 本研究では,特に体内コンピュータシステムとしての持つべき条件を検討した。問題は,体外から体内のコンピュータを完全にリモートコントロールすることが出来るかどうかであり,電力消費節減のためにほとんどの時間をスリープ状態で過ごす体内コンピュータを,赤外線などの通信手段でいかにコントロールするかである。 結果は,スリープ状態にあるコンピュータシステムが完全に通信回線を介してコントロールしうることが明かとなり,計測データの回収,計測プログラムの送出,周辺回路のリモートチェックなどが可能であることが示された。また,本装置がスリープ状態にある場合の消費電流は約1mAであり,装置全体は名刺大の大きさにまで小型化できることを確認した。 また,本装置を動物の行動分析や身体活動量測定などに使う場合には携帯型生体信号収集処理装置として,体外に装着することができる。この点に関しては,心電計アンプ,加速度計を内蔵した装置を作成し,人の1日のこれらの信号の変動が記緑できることを明らかにし,この種の装置の臨床上の有効姓を確認した。
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