研究課題/領域番号 |
03671091
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類遺伝学
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系・人類遺伝研究部門, 助教授 (40126157)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1991年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | ポリメラ-セ連鎖反応法 / ミトコンドリアDNA / 遺伝子系統樹 / 日本人の起源 / 縄文人 |
研究概要 |
PCR法(ポリメラ-ゼ連鎖反応法)の開発によって、極少量の鋳型DNAから標的とするDNA領域を増幅できるようになった。我々は、様々な民族からなる現代人128人のミトコンドリアDNAの、Dル-プ領域の塩基配列を決定している。このデ-タを基に、考古学的試料の解析に適当な233塩基対の多型性の高い領域を選び、2種類のプライマ-を作成した。本年度は、縄文時代の人骨を4個体、北海道の近世アイヌの骨を6個体の合計10検体の塩基配列を決定した。これら考古学的試料からの塩基配列のデ-タと現代人128人のデ-タをあわせた計139人について、相同な190塩基対についての解析を行った。各々の配列間に起きた塩基置換数を推定し、この領域の塩基多様性の度合を求めたところ、2.26%という値になった。次に、推定した塩基置換数を基に、UPG法で遺伝子系統樹を作成した。縄文人4人と近世アイヌ人2人の6人の系統が、系統樹上の最後のクラスタ-に入った。このクラスタ-には、他に15人の現代日本人とマレ-シアとインドネシアからの3人の東南アジア人が含まれる。このことは、日本の原住民である、縄文人と近世アイヌの一部が、現代日本人と東南アジア人の一部と系統的に近い関係にあることを示している。さらに、全ての縄文人と近世アイヌの系統は、より大きなクラスタ-に含まれる。これは、縄文人や近世アイヌが、系統樹の上で早くに分岐した現代日本人とは、系統的に異なることを示している。この観点からみると、縄文人とアイヌで代表される日本の原住民は、現代日本人のグル-プIIに相当することになる。これら原住民では、グル-プIに含まれる日本人と比べて190塩基対の領域の中に、3から8カ所の塩基の違いがある。したがって弥生時代以降に大陸から移住してきた人たちは、現代日本人のグル-プIの一部に該当するかもしれない。
|