研究課題/領域番号 |
03671119
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 川崎医療短期大学 |
研究代表者 |
上田 智 川崎医療短期大学, 臨床検査科, 教授 (40068987)
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研究分担者 |
原野 昭雄 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (60069028)
土井 和子 川崎医療短期大学, 臨床検査科, 講師
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | αサラセミア / 異常血色素 / Hb S / PCR法 / 遺伝子解析 / 不安定ヘモグロビン |
研究概要 |
1.鎌状赤血球症ーαサラセミアー2症の遺伝子増幅法(PCR)による病態解析:Sickling Testが陽性の患児の末梢血液検査、ヘモグロビン(Hb)分析、Hb構造解析、Hb合成試験の結果からHb Sーαサラセミアー2症と診断した症例の末梢血液白血球から得たDNAを解折し、Hb Sへの遺伝子変換とαサラセミアの原因を遺伝子レベルで解明した。患児とその両親のDNAとβ鎖グロビン領域(1.7kb)をPCRにかけ増幅DNAを得、M13ファ-ジベクタ-に組み込み、1本鎖DNAを調整後、dideoxy法で塩基配列を決定した。この結果、患児ではβ6位がGAG(Glu)→GTG(Val)へ変換したHb Sのみが確認され、両親ではHb Sのヘテロが確認された。またHb合成試験からαサラセミアが疑われたので、サザンブロット法で遺伝子解析を行った結果α_2とα_1遺伝子間の3.7kbの塩基対の欠損であるαサラセミアー2(ーα^<3.7>/αα)が患児と父親に見いだされた。従って本患者はHb S(ホモ体)とαサラセミアー2との合伴症であることが明らかになった。最近は外国人居住者が増加して、日本人には見られないが外国人にはよくみられる血液異常の判定も必要になっている。 2.PCR法による異常血色素の構造解析:異常Hbの蛋白構造異常はグロビン鎖遺伝子の塩基配列の変異によって引き起こされるものである。貧血の原因が不安定異常Hbである場合異常Hbのタンパク質分析は困難である場合が多い。Hb Koln症やα鎖異常であるHb Hirosakiを患者のDNAをPCR法で増幅し、遺伝子解析を試み異常Hb遺伝子の変異を明からにした。PCR法を応用した血色素異常症の解析は、蛋白分析が困難な場合においても有効なので検査診断医学分野における重要な解析法となっている。サラセミアや異常Hb症は日本人にはまれであるとされてきたが、この1年間だけでサラセミア17例、異常Hb75例の異常の実態(遺伝子異常)が明らかにされた。
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