研究分担者 |
山上 和美 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助手 (00239865)
片山 昌春 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (60019958)
立野 勝彦 金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40092788)
泉 キヨ子 金沢大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20115207)
金川 克子 金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10019565)
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研究概要 |
《研究目的》 老人の骨折は,その回復過程においてさまざまな障害を起こしやすい。 本研究は,骨折予防の看護についての資料を得る目的で,老人の骨折患者を対象に,骨折時の状況,骨折後の回復状況を経時的に観察した。また,骨折老人の重心動揺と接地足跡の特徴について検討した。 《研究方法》 (1)骨折の原因の1つに転倒が関与していることが明らかにされているので,転倒によって骨折に至った老人患者(特別養護老人ホーム,老人病院入院中)17名(平均年齢79歳)を対象に,骨折時の状況と,骨折後の回復状況をADLを中心に経時的に追跡した。 (2)老人病院入院中の骨折既往のある老人患者14名(平均年齢82歳)とコントロールとして骨折既往のない老人患者19名(平均年齢78歳)を対象に,直立静止開眼・閉眼時の重心動揺を重心計システム(ワミーKK)により測定した。分析は,シグナルプロセッサー(日本電気三栄KK)を用いて周波数分析を行った。また,ピドスコープ(アニマKK)を用いて直立静止開眼・閉眼時の接地足跡を写真撮影し,足角,接地足底面積を測定した。 《結果の概要》 (1)骨折部位は大腿骨が70.6%を占めた。骨折後3年間で,大腿骨骨折老人の50%が死亡し,生存者では大腿骨以外の骨折老人に比してADL自立者が減少した。大腿骨骨折後の早期離床の工夫の重要性が示唆された。 (2)骨折老人の71.4%が転倒による骨折であった。骨折老人では,骨折なし老人に比して直立静止時の重心動揺が大きく,開眼・閉眼での差が大きい傾向がみられた。また骨折老人では,骨折なし老人に比して直立静止での開眼・閉眼時ともに足角は狭かった。つまり,骨折老人の接地足跡は形態学的にバランスを取りにくい状態にあることが示唆された。
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