研究課題/領域番号 |
03671144
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 浩淑 京都大学, 医学部, 助手 (60164331)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 甲状腺ホルモンレセプタ- / ウエスタンブロッティング分析 / 甲状腺ホルモン不応症 / 遺伝子解析 / 点突然変異 |
研究概要 |
A.甲状腺ホルモンレセプタ-(T)の発現に関する研究 機能的TRを認識する抗TR抗体を用いウエスタンブロッティング法でTRα1(47kDa蛋白)およびTRβ1(54kDa)蛋白を同定した。ラット諸臓器のTR蛋白を測定するとα1,β1ともに肝に最も多く、以下大脳、腎、精巣の順であった。TRα1+β1ーmRNAは大脳に多く、肝には非常に少ないとされており、T3結合法から求められたTR量と相関しないことがこれまで問題になっている。ラット肝および大脳の核蛋白を高速液体クロマトグラフィ-で部分精製して得られたTR分画をウエスタンブロッティング分析とスキャッチャ-ド解析した所、大脳はTR蛋白量も最大T3結合容量も肝の約1/3であった。この結果1)肝と大脳においてTR一個当りのT3結合能は同一であること、2)肝には実際に機能的TR蛋白が大量に発現していること。3)TR蛋白量とT3結合容量は相関するが、mRNA量とは必ずしも相関せず、翻訳ないしそれ以降のステップにおいて未知の制御因子の関与が考えられること、が明らかとなった。 B.甲状腺ホルモン不応症患者のTR遺伝子解析 不応症患者の皮膚線維芽細胞からRNAを抽出し 逆転写酵素でcDNAとした。TRβ1遺伝子に特異的なプライマ-を用いT3結合領域をPCRで増幅しその塩基配列を調べた所、1612番めの塩基にAーGの点突然変異があり、その結果438番めのリジンがグルタミン酸へ置換していた。この変異は家族内の3名の患者に共通しており、いずれもヘテロ接合体であった。変異遺伝子を用い家兎網状赤血球系でTRβ1蛋白を作成した所、この変異TRβ1は正常TRに比べT3結合親和性が1/10以下に低下していた。以上の結果、この患者において見出された点突然変異が不応症の原因となっていると結論付けられた。これは本疾患の異常TR遺伝子解析の本邦における最初の報告である。TR蛋白の細胞内局在、発現量に明かな異常は認められなかった。
|