研究概要 |
本研究を通じ、IAPPに関し以下の成果を明らかにした。 (1)ヒト,ラット,マウスの膵臓よりIAPPを単離・精製し、その全一次構造をペプチドレベルで初めて決定した。(2)ヒトおよびラットIAPPのそれぞれのN端部とC端部に対する特異的抗体を作製し、感度0.2fmol,中点2.5fmolで使用可能な高感度のRIAを開発し、その体内分布や正常者および各種病態下における血漿濃度を報告した。(3)IAPPの膵B細胞とD細胞ならびに幽門部G細胞における局在と他のホルモンとの共存を示した。(4)ヒト、ラット、マウスにおけるIAPPの分子型を同定し、ヒトと囓歯類ではIAPPのprocessingが異なることを示した。(5)IAPPはグルコース、グルカゴン、アルギニン刺激によりインスリンと共に分泌され、ソマトスタチンにより分泌が抑制された。ラット膵潅流実験でも同様の結果を確認した。これらの分泌反応は糖尿病前段階では遅延・高反応を、NIDDMでは遅延・低反応を示し、B細胞機能評価の有用なパラメーターになることも報告した。(6)免疫組織化学的に正常者,NIDDM,IDDM患者の膵臓,消化管粘膜層およびインスリノーマ組織におけるIAPPの細胞内局在や膵島アミロイド沈着とB細胞分泌顆粒中のIAPPの関係について検討した。(7)Northern blot解析によりIAPPの遺伝子発現の有無を各組織で明らかにした。また糖尿病モデルラットにおけるIAPPmRNA量の変化も示した。さらにin vitroの系でIAPP投与によりcyclic AMPが増加することも確認した。
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