| 研究概要 |
IGFは血中および組織中ではIGFに特異的に結合する蛋白(IGFBP)と結合して存在している。今回,我々は種々の病態における血中IGFBPを,Westem ligand blot法を用いて測定し,更にIGFBP-3はWestem immunoblot法にて,IGFBP-1はRIA法を用いて測定した。
健常成人の血中IGFBPをwestem ligand blotで検討すると4つのIGFBPs(41k/38k:IGFBP-3,34k:IGFBP-2,30k:IGFBP-1,24k:IGFBP-4)が認められた。IGFBP-3はGH分泌不全症では減少,末端肥大症では増加,原発性甲状腺機能低下症では軽度低下した。低栄養状態ではIGFBP-3の低下,IGFBP-2の増加を認め,重篤な肝硬変症ではIGFBP-3を含めすべてのIGFBPの減少を認め,血中IGFBP-3は主に肝臓で産生され,GH依存性であると共に栄養状態等によって影響されることを示した。低血糖を呈する膵外腫瘍(NICTH)では血中IGFBP-2の増加を認めた。腫瘍摘出により低血糖が消失した2例ではIGFBP-2の低下を認め,又,腫瘍摘出後に血中IGFBP-3の増加を認めた。更に,IGFBP-3についてWestem immunoblot法を用いて検討した。健常人では41,38,30kDのIGFBP-3のバンドが認められ,末端肥大症では41/38,30kD IGFBP-3とも増加し,GH分泌不全症では両型とも減少しており,41/38kDと30kDの割合は差を認めなかった。又,妊婦血清では比較的大量の30kD型が認められた。NICTHでは30kD型が殆どを占める症例が認められた。健常成人5名にIGF-Iを0.06mg/kg,0.12mg/kgを朝空腹時に単回皮下投与し,経時的に血中IGFBP-1をRIA法にて測定すると,投与1時間で増加し,投与5時間で頂値を示した。以上,種々の病態での血中IGFBPについて報告した。IGFのbioavailabilityの変化をみる上でIGFBPを検討することは有用と考えられた。
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