研究概要 |
骨粗鬆症の発生に及ぼす性ホルモンサイトカンの相互作用の研究成果について報告する。 1.IL-4の骨汲収抑制作用(in vivo);lL-4ミニポンプでマウスに注入し血清Caを測定。(1)正常マウス:IL-4(5μg/日)3日間投与は血清Ca値に変動は与えなかった。(2)PTH-rP(1-34)、2.4μg,3日間投与による高Ca血症をIL-4は容量依存的に低下させ,IL-4(5μg/日投与)はPTH-rPの高Ca血症を完全に抑制した。(3)IL-1,PTH-rP産生癌細胞(EC-G1)担癌ヌードマウスの高Ca血症(19.6±2.7mg/dl,SD)は,IL-4(7μg/日)投与5日目に12.9±2.5mg/dlと低下した。この結果,IL-4はin vivoでも骨吸収刺激因子の作用を抑制し骨吸収に対し抑制的に作用する。 2.IL-4投与時の骨組織学的計測;上記1-(2)の実験系で大腿骨の骨組織学的計測を行なってみると、IL-4は破骨細胞(TRAP陽性細胞)の数と表面積を有意(p<0.05)抑制した。この結果、IL-4の骨吸収抑制作用は破骨細胞形成抑制によるものである。 3.IL-4に骨芽細胞(HC3T3-E_1)に対する作用;IL-4は容量依存的に骨芽細胞のDNA生合成、培養液中のIGF-1産生を増加した。IL-4はPTHで刺激した骨芽細胞中のAI-Pの活性の上昇を完全に抑制した。このことはIL-4は骨芽糾胞の増殖に対して促進的に、分化に対しては抑制的に作用している。またIL-4はPTHによるcAMPの産生を抑制し、IL-4はPTHによる骨芽細胞の分化および作用に抑制的に作用する。 4.骨芽細胞(MC3T3-E_1)のアンドロゲンレセプター(AR);MC3T-E_1組織のARを酵素抗体法、Northernblot,Western blotで証明した。またアンドロゲンとの結合は核分画、サイドゾール分画の両方にみられた。エストロゲンレセプターについては現在検討中である。
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