研究概要 |
ホルモンの刺激応答経路の研究に汎用されるGH細胞(ラット下垂体由来)を用いて可溶性GTP結合蛋白質の構造と機能を解析した。本細胞にはG蛋白質のGs,Gi_<2,3>とGoが存在する。この細胞の粗細胞膜中のG蛋白質を活性化すると、膜画分のGs,Gi_<2,3>とGoのすベてのαサブユニットは減少し,上清画分に遊離することをイムノブロット法で明らかにした。その上清画分に遊離したαサブユニットはβ^2サブユニットと再構成させるとまた細胞膜に結合した。他方,intactの本細胞でソマトスタチンやVIP(Vasoactive intestinal polypeptide)でインキュベートするとこれらのホルモンの受容体に連関するG蛋白質のαサブユニットが細胞質へ遊離することを発見した。世界的にみて細胞膜から遊離したαサブユニットをとらえているのはmast細胞とS49細胞の血液系細胞だけであり,細胞内情報伝達系の研究に汎用されているGH細胞で確認されたことは今後の可溶性G蛋白質の生理機能を解析する上で重要である。 他方,従来G蛋白質の活性中心はαサブユニットと考えられていたが、β^2サブユニットも積極的に種々のエフェクター蛋白質(Kチャンネル,フォスフォリパーゼA_2,アデニレートサイクラーゼII型,アデニレートサイクラーゼIV型,フォスフォリパーゼC)を活性化することや,さらにβ^2サブユニットが受容体キナーゼの活性を増強し,ホルモンの受容体のdown vegulationに関与することが報告されたことからも,可溶性G蛋白質の新たな役割が今後注目される。
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