研究課題/領域番号 |
03671199
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70107762)
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研究分担者 |
三輪 史朗 (財)沖中記念成人病研究所, 所長 (40034954)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / ピルビン酸キナ-ゼ異常症 / 変異酵素 / 単一塩基置換 / 単一アミノ酸置換 |
研究概要 |
ピルビン酸キナ-ゼ(PK)異常症は世界各国から300例以上が報告され、解糖系の中では最も頻度の高い酵素異常症である。われわれは既に正常ヒトL型、R型およびM_2型PKcDNAのクロ-ニングと塩基配列の決定を行っている。さらに、ホモ接合型PK異常症の1例(PK Tokyo)で単一塩基置換を決定し、この置換により不安定な変異酵素になることを明らかにしてきた。今年度はホモ接合型PK異常3例(PK Nagasaki,PK Fukushima,PK Maebashi)についての分子異常を検索した。方法はPK異常症患者網赤血球からRT・PCR法によりR型PKcDNAを単離し、全翻訳領域の塩基配列を決定した。PK Nagasakiでは既に明らかにしているPK Tokyo同一の単一塩基置換である ^<1151>ACG→ATGが同定され、この塩基置換によりThr^<384>からMetへの単一アミノ酸置換を引き起こす事が明らかになった。PK FukushimaとPK Maebashiでは ^<1261>CAG→AAGが同定された。この変異はGln^<421>からLysへの単一アミノ酸置換を引き起こし、変異部近傍のペプチド鎖の疎水性が劇的に増加する。Gln^<421>はPK分子の進化過程でよく保存されている残基で、そのNー端側近傍に活性中心を構成するアミノ酸が、Cー端側にはPKのアロステリックな性質を規定する構造が存在する。この様に、PK FukushimaとPK Maebashiで見いだされた構造変化はPKの重要な構造に甚大な影響を与えて、PKの熱安定性や基質ホスホエノ-ルピルビン酸との親和性を低下させ、更にアロステリックエフェクタ-であるフルクト-ス-1、6-二リン酸によるPKの活性化をも障害する。以上の結果より、PK FukushimaとPK Maebashiは、活性中心に対する影響のみが考えられるPK TokyoとPK Nagasakiより重篤な貧血を伴うものと考えられる。以上、ホモ接合型PK異常症3症において単一塩基置換を決定し、その構造異常と機能異常の関係を明らかにした。
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