プラズマ波動は、粒くの協力現象であるから、大部分の粒子とコヒ-レントである。しかし波の振幅が大きくなると、粒子運動の波に対する断熱性が破れ、カオスが発生し、これが波そのものを変えていまう可能性を持っている。このためカオス過程の波への反作用を考慮した理論の建設を試み、以下の成界を得た。 1.電磁場と相互作用する粒子運動を記述するラグランジアンをダブル-変換によって案内中心座標系で表現し、運動方程式を連分数展開を用いて解いた。カオス発生点近傍での解の挙動は、数値計算の結果をよく再現し、解法の有効性を確認した。 2.上の解をラグランジアンに代入し、波の変化の時間スケ-ルを消去することで振動中心座標系に移り、ここで変分によって運動方程式を構成した。これからクリモントヴィッチの手法により、粒子の初期値のアンサンブル平均から、流体力学的方程式を導出した。また電磁場により変分から運動論的波動方程式も同時に求められる。こうしてカオス過程によるプラズマのマクロな物理量の方化を記述する自己無撞着な方程式系が求められた。 3.カオス過程のマクロな性質への反映を調べる第一ステップとして、上記流体方程式の運動方程式にあらわれるポンデロ-モ-ティブ力がどのように変化を受けるかをしらべた。カオス発生点近傍でポンデロモ-ティブ力は零に収束し断熱性を条件とするポンデロモ-ティブ力がこの理論のこの理論の枠組の中に正しくおさまっていることが示された。シミュレ-ションによってもこのことが確認された。
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