研究概要 |
本科学研究補助金により,並列および分散処理システムの基本操作の1つである計算機ネットワ-ク上のブロ-ドキャストについて種々の結果を得ることができた。 まず,並列計算機のア-キテクチャとして広く採用されている超立方体ネットワ-クにおけるブロ-ドキャストの方式を提案し,その耐放障性についての研究を行った。ネットワ-ク上のプロセッサの数をNとし,故障しているプロセッサの断線個数の和をfとした時,情報源のプロセッサが故障していなくて,f<log_2Nであれば,Log_2N+f+1ラウンドでブロ-ドキャストが完了することを示した。さらに,バイナリジャンピングネットワ-ク上のブロ-ドキャストについても同様の研究を行い類似の結果を得た。このネットワ-クの連結度は従来正確に分っていなかったが,我々の研究により,「log_2N」であることが示された。このことにより,バイナリジャンピングネットワ-クでは故障の数が「log_2N」ー1以下であれば,ブロ-ドキャストが可能であることが分った。また,故障の数が「log_2N」ー2以下の時はブロ-ドキャストに必要かつ十分なラウンド数は「log_2N」+f+2であることも示した。 本科学研究費で購入したワ-クステ-ションSー4/1によって,各種計算機ネットワ-ク上でのブロ-ドキャストの効率と耐故障性に関するシミュレ-ション実験を行った。この実験により,我々の導いた理論的結果の正当性を確認し,未解決な問題に対する予想をたてることができた。 本年度に得られた成果は,電子情報通信学会のコンピュテ-ション研究会,フォ-ルトトレランス研究会,情報処理学会のアルゴリズム研究会等で発表し,電子情報通信学会の論文誌に掲載になった。また,3月末に,第8回英国理論計算機科学の会議で発表することになっている。
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