研究概要 |
活性酸素による生体膜構成脂質の過酸化は、成人病や老化現象の成因の一つであると考えられている。このような生体内脂質の過酸化に対する抗酸物質として、種々の野菜、果物に含有されるポリフェノ-ル化合物の一種であるクロロゲン酸に着目した。 まず最初に、分取用高速液体クロマトグラフィ-を用いて、食用野草の一種であるヨモギの葉からクロロゲン酸を単離精製し、白色の粉末を得た。 ^1HーNMR分析の結果、その構造を3,5ージカフェイルキナ酸と同定した。 つぎに、不飽和脂肪酸のラジカルのモデルとして用いた安定なラジカルである1,1ーdiphenylー2ーpicryhydrazyl(DPPH)ラジカルに対するクロロゲン酸類のラジカル消去活性を調べた。その結果、5ーカフェイルキナ酸(コ-ヒ-に多く含有されているクロロゲン酸の一種)と3,5ージカフェイルキナ酸(ヨモギから単離したもの)は、共にDPPHラジカルを5μMから100μMの濃度範囲内で用量依存的に消去することを明らかにした。また、それらの抗酸化能は、アスコルビン酸及びビタミンEとほぼ同じか、または、それらよりやや優れていることも判明した。 つぎに、クロロゲン酸類によるフリ-ラジカルの生成抑制作用をキサンチンオキシダ-ゼ系を用いて調べた。基質(アセトアルデヒト)の酸化の際生成した酸素が、鉄錯体の存在下で活性化されて生じたス-パ-オキシドアニオンラジカル或いはそれより派生したヒドロキシラジカルは、クロロゲン酸類によって効果的に補足されること、従って、その結果としてリノ-ル酸ラジカルの生成は抑制されることを明らかにした。
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