研究概要 |
本研究は千葉県特産品である落花生および、搾油後の脱脂落花生ミ-ルの食材料としての利用範囲を広げることを目的として行った。 まず脱脂落花生ミ-ルのたん白質の特性を知るため、水,NaCl水溶液(4.76,9.09wt%),アルカリ水溶液(pH9.0,10.0)の5種の抽出液で、抽出時間を30〜120分まで変化させてたん白質の抽出を行い、マクロケルダ-ル法により粗たん白質を定量した.水は抽出時間による差はなく,抽出率はおよそ10%であり,NaCl水溶液は9.09wt%の抽出がやや高くて18.0%であった。アルカリ水溶液pH10.0,120分の抽出率が全抽出条件の中では高い値で26.5%であった。更に24時間の抽出を試みたが、120分抽出と殆ど差はない.またアルカリ抽出した溶液を塩酸で沈澱させた結果、pH5.0で沈澱した今後、酸沈澱したたん白質の精製等を行いたい。 一方、脱脂落花生ミ-ルを調理へ利用することを種々試みた結果、皮に含まれるタンニンの渋みを感じさせぬ、水分の少ない高温加熱調理(クッキ-、スポンジケ-キ等)の場合は利用可能であることが分った。 次いで生と煎った落花生を用いて葛粉、片栗粉によるカ-ド状食品(落花生豆腐)の作製を試みた。澱粉濃度,加熱時間を変化させて作製したものにつき、カ-ドメ-タ-とレオロメ-タ-を用いておよび粘稠性を増し、加熱時間による変化は弾性・性状の測定を行った.葛粉のものは濃度が高まるにつれ、生と煎ったもののいずれも弾性に大きく見られた。片栗粉のものはこれらの変化が素早く進むが、長時間加熱では形状が保たれにくくなり、この傾向は煎ったものの方に強かった。また官能テストを行ったところ、多くの項目で片栗粉のものが好まれた.ミクロト-ムを用いて切片を作成し、落花生豆腐中の各成分の分布状態と食味との関連について検討中であるが、更に老化、調味料添加の影響等についても研究を進めたい。
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