研究概要 |
1.1991年の実施計画 衣服圧の体性感覚誘発電位への影響に関する実験条件は次のようである。被験者女子の鼻にサーミスターを取り付けモニターで呼吸曲線をとらえた。加圧用カフを胴囲線上に装着し椅座位安静とし開眼で覚醒状態を保たせた。ウエストカフの加圧量は被験者がきついと感じた30mmHg程度である。頭皮上のCZ、C4'に表面電極を装着し、呼吸曲線の呼息相と吸息相の中間時点でトリガーをかけ正中神経を刺激した。電気刺激により生じる体性感覚誘発電位を短潜時・中潜時についてとらえ、60〜100回加算平均を行いデータをコンピュータディスクに記録した。得られた波形から頂点潜時と頂点間振幅を測定し、それらの平均値を求めて体性感覚誘発電位に生じる衣服圧の影響について検討を行った。しかし有意差には至らなかった。衣服圧の感覚値と圧迫量については、加圧カフと生体間にポーチ型の圧センサーを挿入し、10から20,30,40,50,60mmHgに加圧量を負荷し、ウエスト各部位の感覚量とのかかわりをとらえた。 2.1992年の実施計画 深呼吸を実験条件に加え、中・長潜時の体性感覚誘発電位の変化をとらえた。頂点間振幅N3P4では深呼吸時に有意な加圧の影響が生じていた。 3.1993年の実施計画 無作意で手部の開閉運動を被験者に続けさせ、呼息相と吸息相の終点時点でトリガーをかけ本実験を行った。C4'よりCZにより強く加圧の影響をとらえることが出来た。頂点間振幅P2N3は、深呼吸の吸息時>普通呼吸の呼息時>普通呼吸の吸息時と有意に大きな加圧の影響がとらえられた。衣服圧の感覚値と圧迫量とのかかわりについては、3年間で得られた28名の平均値に基づき回帰直線を設定したところ、ウエーバー・フェヒナーの法則によく適合していた。
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