研究概要 |
筆者らはヒトの健康度・老化度を表す尺度として活力年齢(vital age:VA)なる概念を提唱し、以下に示すVA推定式を作成・提案しているが、いかなる推定式もその作成に利用した集団(標本)に最も良くあてはまる。他の標本から得られるデータについても、その推定式の妥当性が確保できるかどうかは疑問である。当該年度はこの点に着目して検討を加えた。一般健康成人42名については、暦年齢(CA:56.6±7.9歳)とVA(56.1±9.9歳)との間に有意差が認められなかったが、冠動脈疾患群(CHD;n=22)ではVA(65.1±10.9歳;48.7-86.2歳)はCA(56.4±8.9歳;41-70歳)よりも有意に高かった。22名中、21名においてVAはCAを上回った。なお、VAとCAの相関は一般群でr=0.76、CHD群でr=0.62であった。以上のことから、筆者らが作成したVA推定式の交差妥当性は高いと結論できる。 VA=15.16VS+0.201CA+39.06 VS=2.22+0.024X_1+0.011X_2+0.002X_3+0.002X_4-0.046X_5-0.013X_6-0.025X_7-0.008X_8-0.241X_9-0.008X_<10> VA=活力年齢(歳),VS=活力指数,CA=暦年齢(歳) X_1=肩甲骨下部皮下脂肪厚,mm;X_2=収縮期血圧,mmHg;X_3=コレステロール,mg/dl;X_4=トリグリセライド,mg/dl;X_5=乳酸性閾値(またはAT)に相当する酸素摂取量,ml/kg/min;X_6=乳酸性閾値(またはAT)に相当する心拍数,b/min;X_7=反復横とび,step/20 sec;X_8=閉眼片足立ち,sec;X_9=1秒量,1;X_<10>=ヘマトクリット(%)
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