研究概要 |
本研究では、最大自転車駆動時の出力パワ-と酸塩基平衡および筋活動様式に及ぼすペ-ス配分の影響に検討することを目的に、90秒間の最大自転車駆動を行わせた。被検者としては、最大自転車駆動をトレ-ニングの一貫として行っている男子スピ-ドスケ-ト選手12名とした(平均年齢19.4±1.0歳,身長170.2±4.8cm,体重66.0±4.8kg)。最大自転車駆動におけるペ-ス配分として、1)ペ-ス;駆動開始時より全力で駆動する全力(漸減ペ-ス),2)ペ-スII;ペ-スIと以下に述べるペ-スIIIとの中間のペ-ス,3)ペ-スIII;ペ-スIで得られた総仕事量を一定のペ-スで駆動するイ-ブンペ-ス,を設定した。その結果,以下のことが明らかにされた。 1)3種類のペ-スでの仕事量を平均パワ-(ワット)でみてみると、ペ-スIで最大値が得られた者が3名,ペ-スIIで得られた者が8名およびペ-スIIIが1名であった。平均パワ-では、ペ-スIIが最も高い値を示し、ペ-スIIIとで有意差が認められた。 2)血中乳酸濃度は、3種類のペ-ス配分で同様の値を示した。電解質濃度は、NA^+,K^+およびCl^-ともにペ-スIで最も高い値を示し、ペ-スIとペ-スII,ペ-スIとペ-スIIIとの間で統計的に有意差が認められた。 3)酸塩基平衡の指標とされるStrong Ion Difference(SID)とAmion Gap(AG)も同様にペ-スIIにおいて低値を示した。 4)外側広動から導出した筋電図変化では、時間経過に伴う積分筋電図の低下はペ-スIにおいて最も顕著であり、ペ-スIIではほとんど差が認められなかった。 以上の結果より、筋のパワ-出力能力と酸塩基平衡状態および筋活動との間に密接な生理学的関連があることを示唆された。
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