研究概要 |
酵母ミトコンドリアのATP合成酵素には活性調節因子としてATPア-ゼインヒビタ-,9K蛋白,15K蛋白の3活性調節因子が存在する。これまでの研究によってATPア-ゼインヒビタ-はミトコンドリアの内膜にかかるプロトンの電気化学的ポテンシヤルに依存してATP合成酵素と解離・会合することが明らかになっている。本研究はATPア-ゼインヒビタ-の酵素表面上の作用機構を明らかにするため,ポテンシヤルの低下した時ATPア-ゼインヒビタ-はATP合成酵素のどの部位に結合するか,その時9K蛋白,15K蛋白はどの様な作用でATPア-ゼインヒビタ-の働きを調節しているかを明らかにしようとした。 結果1.ATPア-ゼインヒビタ-はATP合成酵素のF_1ーサブユニットと1:1のモル比で結合するがその結合部位はF_1のαおよびβサブユニットの間に存在する。 結果2:βサブユニットのATPア-ゼインヒビタ-の結合部位が同定できた。ATPア-ゼインヒビタ-はβサブユニットのATP結合部位で知られるD_<333>ーD_<364>間に結合することが明らかになった。 結果3:ポテンシヤルが低下した時ATPア-ゼインヒビタ-がF_1に結合するが,ポテンシヤルが上昇した時ATPア-ゼインヒビタ-はここから解離する。このときATPア-ゼインヒビタ-が占めていた位置は9K蛋白にとってかわられる。このことは遺伝的にATPア-ゼインヒビタ-を欠失した酵母,或は9K蛋白を欠失した酵母のミトコンドリアを用いて確認された。 上記の研究を遂行するにあたって補助金によって購入した振とう培養器は酵母の培養に十分使用できた。
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