研究概要 |
培養ヒト細胞において紫外線応答の初期の過程で活性化レベルが上昇するプロテアーゼについて,分離・抽出・精製を可能とする実験系の開発を行った。一方,このプロテアーゼ活性の誘発を調節する機構とプロテアーゼの生理的役割を明らかにした。得られた成果の概要は以下の通りである。 (1)インターフェロンにより誘発が促進されるプロテアーゼの活性はアンチパインにより特異的に阻害される。 (2)インターフェロンの活用を増強させる薬物,dipyridamoleを発見。 (3)インターフェロンなしでもプロテアーゼ誘発のみられる変異株を樹立した。アンチパイン抵抗株,インターフェロン耐性株などである。 (4)上述の変異株では,除去修後レベルの上昇,突然変異誘発頻度の低下が確認された。 (5)プロテアーゼによる調節が示唆されている細胞の突然変異を,これまでの形質レベル(芽剤耐性化)での解折から遺伝子レベルでも観察可能とした。 (6)プロテアーゼの活性誘発レベルを異常に高くするTuberoussclerosis(結節性硬化症)因子を発見した。この因子は,突然変異の誘発レベルも高めることを見い出した。 (7)上述の結節性硬化症以外にも,Cockayne syndrome Acute disseminated encephalo-myelitis,Multiple sclerosis,Progeria等が,目的のプロテアーゼ代謝異常症であることが示唆された。
|