研究概要 |
申請者らは、過去数年来、電離放射線の潜在致死障害(potentially lethal damges:PLD)の修復機構の研究に従事し、PLD修復には修復速度の異なる2種類(fast,slow)を証明した。この研究を通じて、多数の細胞を培養した“使い古しの培養液"(conditioned medium:CM)が、X線照射された細胞の死を軽減する現象(slowーPLD修復)に興味を抱いた。 本研究の目的は、このCMが何故照射を受けた細胞を生き返らせるのかを明らかにするため、“使い古しの培養液"に含まれている、活性物質を分離・精製しようとするものである。 1)細胞の放射線細胞死を救う生理活性物質を分離・精製するため、V79チャイニ-ズハムスタ-細胞と無血清培地を用いてCMを作製し、分子量100,000前後、10,000前後、1,000前後をふるいわけるアミコン社の限外膜を用いて検討した。細胞の放射線細胞死活性は、分子量1,000以上にはなく、1,000以下の非常に小さい分子であることが明らかになった。 2)その分画した標品から塩類を除くため、透析を行なったが塩は抜けた活性もなくなった。アンバ-ライトXAD2のカラムを通して脱塩しょうと試みたが、活性は塩濃度が高い分画にあり、活性と塩類と分けることができなかった。活性炭カラムにも吸着しなかった。現在、この問題の解決方法を検討中である。 3) そこで、精製しないままでこの物質の性質を検討するため、proteinase K,neurqaminidase,hyaluronidase,αーglucosidase等の酵素処理を行なったが、活性を失なわなかった。このCMの細胞の死を軽減する効果は、ノボビイオシンで阻害された。そこで、この薬剤からのアプロ-チを検討中である。
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