研究課題/領域番号 |
03680186
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線生物学
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研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
大塚 健三 愛知県がんセンター研究所, 放射線部, 主任研究員 (40150213)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1992年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 熱ショック蛋白質 / hsp40 / DnaJホモローグ / 分子シャペロン / 熱ショックタンパク質 / DnaJホモロ-グ / 二次元電気泳動法 / 細胞内局在 / Hela細胞 |
研究概要 |
先にわれわれは、哺乳動物細胞やニワトリ細胞において新しい熱ショック蛋白質hsp40を見出し、そのN末部分的アミノ酸配列からこのhsp40がバクテリアの熱ショック蛋白質の1つであるDnaJと相同性のあることを示した。本研究では哺乳動物細胞のhsp40の機能を細胞レベルおよび蛋白質レベルで検討するとともに、hsp40のcDNAおよびgenomicDNAをクローニングすることによりその発現機構を解明する。更に温熱耐性におけるhsp40の役割を明らかにしていくことを目的とする。 抗hsp40抗体を用いてヒトプラセンタのcDNAライブラリーからhsp40のcDNAをクローニングし塩基配列を決定した。推定されるアミノ酸配列には先に決定したN末48アミノ酸残基と同一の配列が存在し、また大腸菌のDnaJとも34%の相同性があった。ヒトhsp40にはJおよびG/FドメインはあるがCドメインはない。また酵母のhsp40ファミリーの中では、SISIと最も相同性が高く(40%)、ドメイン構造、分子量、pI、熱誘導性、細胞内局在もよく似ているので、hsp40はSISIの相同体であると思われる。なおヒトhsp40cDNAの塩基配列は、既に報告されているHDJ1(human DnaJ 1)と98%以上の相同性があった。しかしアミノ酸配列では77%の相同性しかない。これはHDJ1の塩基配列にまちがいがあり、数ヵ所でミスマッチやフレームシフトを起こしているからであることが判明した。従ってhsp40とHDJ1は同一の遺伝子産物であることが示された。 われわれは既にHeLa細胞において熱ショック条件下ではhsp40は構成型hsc70(p73)とcolocalizeすることを示した。今回は、HeLa、中国ハムスターHA1、およびNRK細胞を用いて検討したところ、熱ショック条件下ではhsp40は構成型hsc70(p73)だけではなく誘導型hsp70(p72)とも局在を同じくしていることが示された。これらの結果は、大腸菌におけるDnaK/DnaJシャペロン系と同様に、哺乳動動物細胞においてもhsp70/hsp40シャペロン系が存在し、ストレス条件下では、核や核小体内で変性した蛋白質や凝集魂の修復に関与していることを示唆している。 次に温熱耐性とhsp40の相関をマウスのSCCVII細胞を用いて調べた。温熱耐性およびhsp40を誘導する条件としては熱ショック(44℃ 30分)、ヒ素処理(100μM 1時間)を用いた。温熱耐性はコロニー形成能、hsp40はウエスタンブロットで定量化した。いずれの条件下においてもhsp40の合成・減衰と温熱耐性の発現・減衰の動態はよく相関していた。このことからhsp70だけでなくhsp40も温熱耐性のマーカーになりうることが示された。 hsp40のN末のJドメイン中の15アミノ酸残基ペプチドに対する抗体を作製し、これを用いて二次元ウエスタンブロットで検索したところhsp40の他に2つの反応するスポット(蛋白質)が検出できた。またhsp40とhsp70の相互作用については種々の条件下で検討しているが、今のところ直接的な相互作用を示す結果は得られていない。
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